珠玉の言葉 国語試験の問題文より⑥ 椎名誠「続岳物語」
たかです
今日は昨日の続きで椎名誠「続岳物語」から。中1の教科書にも掲載されています。 ※あらすじ等、ネタばれ注意です!
◆あらすじ◆
筆者は息子の「岳(がく)」の頭を保育園の頃から風呂場で電気バリカンを使って丸坊主にしていた。ある年の夏、急に大人びた岳はいつものように散発しようとした筆者を拒否した。
◆場面◆
散発を拒み続ける岳に、筆者は苛立ちながらも強引に岳を風呂場に連れて行く。腹を立てている岳に構わず刈ってしまおうと思い、岳の頭をわしづかみにする。岳は筆者の手首を握り、にらみつけながら大粒の涙をこぼして、強い口調で反抗した。
思いがけない岳の様子に驚いた筆者は岳の言葉に耳を傾けるようになる。
「ぼうずじゃなけりゃ、どういうかっこうがいいんだよ。」
「別にどうってわけでもないけれど、でも、とにかくこういうふうに頭を刈られるのは嫌なんだ、もう……。」
「俺にバリカンでやられるのが嫌だっていうわけか?」
◆珠玉の言葉◆
上記の次の岳の一言。
「別におとうにやられるから嫌だというわけではなくて、こうやって、突然おとうの気まぐれで、勝手に風呂場に連れてこられて、それで好きなように、おとうの好きなように、どんどん刈られていく、っていうのが、僕は嫌なんだ……。」
さらにそれを聞いた筆者の
「それにしても岳の言っていることはなかなかに説得力があった。」
岳の成長を示す見事なせりふ。
筆者はその夜妻と話をして「反抗」だと思っていたのを妻に「自立」ではないかと指摘されそのことに気付く。ここに親の成長も感じられる。
この作品はノンフィクションなのかもしれないが、子どもに対する接し方に学ぶべき点が多いと思う。