珠玉の言葉 国語試験の問題文より⑧ 向田邦子「字のない葉書」
たかです
今日は再び向田邦子「眠る盃」に収録されている「字のない葉書」から ※あらすじ等、ネタばれ注意です!
◆あらすじ◆
太平洋戦争終戦の年、筆者の一番下の妹は戦禍を避け甲府に疎開することになった。
心配した父は、当時字のかけなかった妹に「元気な日は○を書いてポストに入れなさい」と言い聞かせて宛名を書いた葉書をたくさん持たせた。1週間ほど経ってから大きな○が書かれた葉書が届いたが、○は次第に小さくなっていき、最後にはとうとう×になってしまった・・・。
◆場面◆
妹が帰ってくる日、弟の「帰ってきたよ」という声を聞くやいなや父は裸足で外に飛び出した。
◆珠玉の言葉◆
久しぶりに会う妹を抱き上げて泣く父を見て私は
「私は父が、大人の男の人が声を立てて泣くのを初めて見た。」
普段、口うるさく酒を飲むと暴君のようになる筆者の父が声を立てて周りの目もはばからず泣く。初めて読んだ時、同じように涙が出ました。
文庫本でわずか4ページほどの超短編ですが、心に残る名作だと思います。現在は中学校2年生の教科書に収録されています。中2のお子様をお持ちの方はぜひ読んでみてください。