珠玉の言葉 国語試験の問題文より⑩ 阿部夏丸「峰雲へ」
たかです
今日は阿部夏丸から ※あらすじ等、ネタばれ注意です!
◆あらすじ◆
小学校6年生の仲良し「伸一」と「正治」が川で漁師をしている源造の舟を追いかけて、桟橋の近くまでやって来た場面
◆場面◆
漁師の源造が大物(60cm級)の鯉を捕まえているところを見た伸一は、獲物を近くで見たくなり、源造の舟に近づこうとするが、おもいがけず正治に止められる。
◆珠玉の言葉◆
「源さん、働いているだろ。そこに子供が近寄ったらまずいってことさ。」
「なあ、伸一。の父ちゃん大工だろ。あの、だらしなくて、いいかげんな父ちゃんがさ、仕事場だけには絶対に俺を入れてくれないんだ。」
「電気ドリルがあるからか。」
「それもあるけどな。特別な場所なんだってさ。俺、よく分かんなかったけど、あの桟橋見てたらそう思えてきてな。源さんの仕事場だから邪魔しちゃだめだって。」
少し前に沖縄の「チビチリガマ」を少年たちが荒らした事件がありました。
他にも花壇の花をもぎ取ったり、寺社仏閣に落書きをしたり、果ては成人式で大荒れしたり等が報道されることが昔に比べて多くなりました。昔の「悪ガキ」どもと大きく違うのは「ここまではセーフ、これ以上はアウト」の境目の判断力のなさだと思います。
昔は父親の書斎には入ってはいけないとか、親のものを勝手に触ってはいけないとか。そういうことがごく自然にそれぞれの家庭で躾として行われていました。サザエさんでもカツオが波平の盆栽を壊すと「バカもーん!」とこっぴどく叱られます。
最近は「他人を責めるのは厳しく」なっているのに、「神聖な場所とかものに対する自覚」=「畏敬の念」ともいうべきものが薄れていると感じます。