ネトゲ依存症の話③
たかです。
今は夏休み。
塾は夏期講習真っ最中です。
うちでは小学生の夏期講習で学校の読書感想文の宿題をします。これが保護者からは結構評判がいいのです。ご家庭で苦労してるんですね(笑)
あらかじめ課題図書を選定しておき、夏期講習の申込をしてくれた小学生に配布します。そして授業のある日までにその課題図書を読んできてもらい、面白いと感じた場面のページに付箋をつけておいてもらいます。
授業は途中に10分の休憩をはさんで40分×2コマ。
前半はイメージを膨らませる作業をします。付箋を貼った場面を振り返り、自分の体験と照らし合わせながら、書きたいことを洗い出して紙に書き、その中から絞りこんでいきます。
後半は下書きをして、それを先生にチェックしてもらい、OKをもらったら清書する、という流れです。我々担当はできるだけ、子どもたちのアイデアや表現を尊重し、それを損なわない範囲で修正を加えて仕上げていきます。
さて、その授業の前半。我々担当はグッと我慢をして子どもたちの「産みの苦しみ」を見守ります。15分おきぐらいに机間巡視をしながら子どもたちの様子を観察します。そのなかで一人。全く手を動かさず、紙も真っ白のまま。じっとしているK君。結局、前半の40分、彼は一文字も書かず終了してしまいました。
休み時間にK君を呼んで、事情を聞いてみました。するとK君いわく「書くことが何も思いつかない」のだそうです。課題図書は「転校生を含む小学生の男の子3人の友情物語」です。感想を聞くと面白くなかったとのこと。じゃあ、自分の一番仲の良い友達のことを書いておいで、と水を向けると、10分ぐらいして紙に友達の名前だけを書いて持ってきました。
実は、K君筋金入りのネットゲーマーなのです。装備を集めたり、ゲーム内通貨を集めたり、レベルを上げたりする「終わりのないタイプ」のゲームです。
彼は夏休み中も毎日そのゲームをするために朝5:30に起床して、塾に来るまでの約4時間ゲームをするんだそうです。そして塾が終わって家に帰ると、食事をしてからまたゲーム・・・。外には一切遊びに行かない。「外に出るのは暑いしめんどくさいから。」なんだそうです。友達はいるけど、彼の自宅がたまり場になっていてみんなで集まってゲームをするのだそうです。1日のゲーム時間は約8時間。時には10時間を越えることも。。。ご両親は共働きで昼間は家にいません。
後半が始まっても、K君の手は全く動く様子がありません。。。そこで私はもう一度K君を呼んで、「どんなゲームなのかの説明とそのゲームのどんなところが面白いのかを書いてみて」と言いました。K君の目が一瞬「キラリ」と鋭くなりました。
10分後。。。彼は原稿用紙1枚半(=約600字)びっしりとそのゲームの説明と攻略のコツ、面白いところ(=得られる達成感がたまらない、と書いてありました)について、詳細に書いてきたのです!
子どもはもちろん、大人もそうですが、経験のないことは自分の中に「引き出し」が存在しないため、見聞きした程度のことしかない(=書けない)ものです。
ひょっとしたらK君はリアルの友だちと本気でぶつかったりという経験がほとんどないのかもしれません。また外で遊ばないので外界の刺激から来る「引き出し」をほとんど持っていないのかもしれません。
幸い、まだ小学生なので学校にはきちんと行ってるし、決められた日時に塾にもきちんとやってきて、他の小学校の子たちとも話をしたりしていますので、今すぐ危険性の高い依存症というわけではないようです。ただ、中学生になって学校に行くのを嫌がったりするようになると注意が必要だと思います。