教育業界で仕事してきた夫婦のブログ
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珠玉の言葉 国語試験の問題文より② 小檜山博「地の音」

たかです

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今日は普段授業で使っている中2の国語のテキストから ※あらすじ等、ネタばれ注意です!

小檜山博「地の音」

 

◆あらすじ◆

貧困の中、無理をして高校に進学して寮生活を始めた「ぼく」

◆場面◆

駅前の食堂で汽車待ちの時間を父と過ごす場面

・・・父ちゃんは壁の献立表を見て言った。恥ずかしそうな目をしていた。ぼくは大きくうなずいておカネを受け取り、汽車賃あるの?と聞いた。まわりに客はいなかった。父ちゃんが、大丈夫だ、と言ってテーブルの上にある伝票を覗き込んだ。ぼくは父ちゃんからもらったおカネを丸めるようにして手のひらの中に握り、その手をしばらくテーブルの上へ置いたままにした。ポケットにしまうのがつらかった。

 食堂を出たところで、父ちゃんが思いついたように腕時計をはずしてぼくに差し出してきた。

◆珠玉の言葉◆

 腕時計をしぶしぶ受け取った「ぼく」の文。

「眼が何度も腕時計をした左の手首へ行く。そこの皮膚が熱っぽかった。」

 

やはり自分は、親子の絆とかそういうのに弱いみたいです。

献立表を見たり、伝票を確認したり・・・手持ちのお金がギリギリなのに息子にお金を持たせ、その上腕時計まで渡す父の愛情。それが息子に伝わって「皮膚が熱く」感じられる。初めて読んだ時、この表現力の凄さに圧倒されました。

自伝的小説ということですが、やはり体験の持つ力は威力があります。

子どもたちの作文と同じですね。外でいろんな体験をしている子は生き生きとした文章を書いてきます。机上だけでは何かが足りないのです。