珠玉の言葉 国語試験の問題文より⑤ 椎名誠「はるさきのへび」
たかです
今日は椎名誠「はるさきのへび」の中から短編「娘と私」 ※あらすじ等、ネタばれ注意です!
◆あらすじ◆
ある日、小学校1年生の娘「葉(よう)」のことで担任の先生から連絡があった。
話を聞いてみると、いつも学校に授業ギリギリの時間に着く、という。
家から学校までは大人の足で7~8分、小学生の足でも15分あれば十分の距離だし、いつも30分以上前に家を出ているはずなのに・・・不思議に思った筆者の妻は娘をこっそり尾行してみることに・・・・
◆場面◆
尾行してみて分かったことは・・・
道端に生えている草の前にしゃがんでその草の葉を上からとか下からとか、とにかくまあじっくりしみじみ眺めて、それから指ではじいてみたりしている。指で何をはじいていたのかなあ、と思ってそこへ行ってよく見ると、どの葉にも朝露がいっぱいたまっているのがわかったの。別の場所では空を見あげてじっと雲を眺めていたりしてたからね。でもそのあとは道ばたのドブ川の水をだいぶながいこと見つめていたけれど……。
◆珠玉の言葉◆
妻から報告を聞いた筆者は
「妻が尾行してわかったことは、とにかく学校へ行く道を歩きながら、娘の葉はあっちこっちの風景に果てしない人生の興味を示し、そのひとつひとつをじっくり落ちついて追究してしまうものだから、なかなか道がはかどらないのだという。」
私は、この一文を読んですっかり椎名誠という作家が好きになり、その後すぐに「岳物語」「続・岳物語」を読み、息子の散髪をする場面でますます好きになりました。(この場面は後日)
子どもを見守る温かな親のまなざしがなんとストレートに伝わってくることでしょう。
普段「子どもと接すること」が仕事である私たちのあり方を考えさせられた1冊でした。