教育業界で仕事してきた夫婦のブログ
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珠玉の言葉 国語試験の問題文より 池内了「科学の落し穴」

たかです

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今日は宇宙物理学者の論説文。池内了「科学の落し穴」から ※あらすじ等、ネタばれ注意です!

 

◆あらすじ◆

科学技術の発達は我々の生活を便利にしてきた。愛知万博の生分解性プラスチックがその代表例である。しかし、技術の発達に依存するあまり、道徳までもが技術に肩代わりされていくことでいいのか?という疑問がある。環境を気にすることなく捨てることのできるプラスチック容器のおかげで使い捨てにすることの後ろめたさを薄れさせていいのか?

◆場面◆

筆者は、生分解性プラスチックの他に、映画館や劇場でのケータイ通信妨害電波の技術

自動車の自動速度制御装置を道徳が技術に置き換えられた例として挙げ、その危険性を

示す例として、人間の原初能力の減退を挙げている。

シャープペンシルの使用により、子どもたちがナイフを使う能力を失い、

車の使用により、走力が衰え、

エアコンの普及により、汗をかかなくなり

パソコンを使うようになって、漢字の書き方を忘れることが増えた。

 

◆珠玉の言葉◆

上記のまとめとして警鐘を鳴らす一文、

「迂遠なようだが、人々の道徳心を涵養し、どのように判断すべきかを決めていける人間であり続けねば社会は荒廃してしまうだろう。」

 

初めて読んだ時、思い当たることが多々あると思った。自身を振り返っても車の使用、エアコン、パソコンの項目は当てはまる。

昔と比べて「寛容さ」のない世の中になった今、却って傍若無人とも言える自分勝手な行動を取る人が増えたようにも感じる。

折りしも「道徳」を教科化して評価の対象にするかどうかを国が検討するというニュースもあった。まずは互いに「許す」ことを考えてみるべきではないかと思う。